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不動産売却の手続き完全ガイド|売却の流れ・必要書類・税金を一覧で解説

不動産売却

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「売買契約を結んだのに、抵当権が抹消できず決済が延期になった」「確定申告で3,000万円控除の申請を忘れ、数百万円の税金を払うことになった」――不動産売却の経験者から、こうした失敗談は少なくありません。

不動産売却で必要な手続きは、査定から確定申告まで最大15件にもなります。しかも厄介なのは、手続きの間に依存関係と厳格な順番があることです。境界が確定しなければ売買契約は結べません。ローンの一括返済手続きをしていなければ抵当権が抹消できず、所有権を移転できません。さらに売却の翌年には譲渡所得の確定申告が待っています。所有期間が5年以下か5年超かで税率は約2倍も違います。

この記事では、不動産売却の手続きを時系列に沿って正しい順番で解説します。手続きの一覧だけでなく、「なぜこの順番なのか」「何を忘れやすいのか」「税金でいくら変わるのか」まで踏み込んでいるのがこの記事の特徴です。

不動産売却にかかる費用の目安

仲介手数料(売買価格の3%+6万円+消費税)が最大のコストです。3,000万円の物件なら約105万円です。その他に印紙税(1万円)、抵当権抹消費用(1~2万円)、測量費(30~80万円)、引越し費用がかかります。譲渡所得が出れば税金も加わります。売却額の全てが手元に残るわけではない点を事前に把握しておきましょう。

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不動産売却手続きフロー図 — 売却準備から確定申告までの時系列
不動産売却手続きの全体フロー(時系列順)

売却準備(売却3ヶ月前〜)

不動産の査定依頼

届出先: 不動産会社(複数社に依頼推奨)。査定には机上査定(1〜3日)と訪問査定(1週間程度)の2種類があります。査定額が高い会社が良い会社とは限りません。相場とかけ離れた高額査定は売れ残りのリスクがあります。複数社の査定額とその根拠を比較して判断しましょう。持ち家計画なら複数社に一括依頼できます。この段階で購入時の売買契約書を探しておくことが重要です。取得費が不明だと譲渡所得の計算で不利になります。

不動産会社との媒介契約の締結 法定手続き

届出先: 不動産会社。媒介契約には3種類あります。(1)一般媒介(複数社に依頼可、報告義務なし)(2)専任媒介(1社のみ、2週間に1回報告、自己発見取引可)(3)専属専任媒介(1社のみ、1週間に1回報告、自己発見取引不可)。契約期間は最長3ヶ月で自動更新はありません。仲介手数料の上限は売買価格×3%+6万円+消費税です(宅地建物取引業法 第34条の2、第46条)。

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媒介契約を結ぶ前に、査定額の根拠・売却戦略・広告方法を各社に確認しましょう。「高く査定してくれたから」だけで選ぶと、売れ残って値下げする羽目になりかねません。

相談者
相談者

3社に査定を依頼したら、1社だけ500万円も高い査定額でした。ここに任せるべきですか。

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査定額が高い=良い会社ではありません。相場とかけ離れた高額査定は「媒介契約を取るための釣り餌」の可能性があります。結果的に売れず、値下げを繰り返すことになるケースが少なくありません。査定額の根拠(周辺の成約事例、路線価、築年数の評価等)を具体的に説明してもらい、論理的に納得できる会社を選びましょう。

測量・境界確定(戸建て・土地の場合)

届出先: 土地家屋調査士。戸建て・土地の売却では境界確定が事実上必須です。隣接地の所有者全員と境界について合意し、境界確認書に署名をもらう必要があります。費用は30〜80万円程度、期間は1〜3ヶ月です。隣接地の所有者が不明・海外在住の場合はさらに時間がかかるため、早めに着手しましょう(不動産登記法 第14条、土地家屋調査士法 第3条)。

建物状況調査(インスペクション)(建物がある場合)

届出先: 建築士事務所(既存住宅状況調査技術者)。2018年の宅建業法改正により、媒介契約時にインスペクションの斡旋の有無を記載し、重要事項説明で調査結果を説明することが義務付けられました。調査自体は任意ですが、実施すると買主の安心材料になり売却がスムーズに進む傾向があります。費用は5〜10万円程度です(宅地建物取引業法 第34条の2第1項第4号)。

ハウスクリーニング・内覧準備(建物がある場合)

第一印象は売却価格に影響します。水回り(キッチン・浴室・トイレ)のクリーニングは特に効果的です。大規模なリフォームは費用対効果が低いことが多いため、不動産会社と相談してから判断しましょう。費用は3〜10万円程度です。

売買契約(売却1ヶ月前〜)

売買契約の締結・手付金受領 法定手続き

届出先: 不動産会社の事務所。重要事項説明書の内容(物件の瑕疵・設備の状況・契約不適合責任の範囲等)を必ず確認しましょう。手付金は売買価格の5〜10%が一般的です。契約書には印紙税がかかります(売買価格1,000万〜5,000万円の場合1万円、軽減税率適用時)。マンションの場合は管理規約・長期修繕計画・修繕積立金の総額なども重要事項説明の対象になります(宅地建物取引業法 第35条・第37条、民法 第555条)。

住宅ローン特約に注意

買主の住宅ローン審査が通らない場合、契約が白紙解除される可能性があります。手付金は返還されますが、引渡しの予定が大幅にずれることになります。売主としても、ローン審査の期限を確認しておきましょう。

相談者
相談者

売買契約後に「やっぱりやめたい」と思った場合、キャンセルできますか。

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売主からの解約は「手付倍返し」が原則です。受け取った手付金の2倍の額を買主に支払うことで契約を解除できます(民法第557条)。ただし、買主が履行に着手した後は手付解除ができなくなります。また、仲介手数料は既に発生しているため返金されないのが一般的です。安易に契約しないことが重要です。

決済準備(売却2週間前〜)

住宅ローンの一括返済手続き(ローン残債がある場合)

届出先: 住宅ローンを借りている金融機関。売買契約が成立したら、金融機関に一括返済の申し出をします。決済日に売却代金で残債を完済し、同日中に抵当権抹消登記を行うのが一般的です。金融機関への連絡は決済の2〜3週間前までに行いましょう。全額繰上返済には手数料がかかる場合があります。

抵当権抹消登記(ローン残債がある場合) 法定手続き

届出先: 物件所在地を管轄する法務局(司法書士が代理申請)。抵当権が抹消されないと買主に所有権を移転できません。決済日に売却代金でローンを完済し、同日中に司法書士が法務局に申請します。費用は登録免許税1,000円/筆+司法書士報酬1〜2万円程度です(不動産登記法 第16条)。

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抵当権の抹消は売却の大前提です。金融機関から抹消書類が届くまで2〜3週間かかるため、売買契約が成立したらすぐに連絡しましょう。

決済・引渡し(売却当日)

残金決済・物件引渡し 法定手続き

届出先: 買主の住宅ローン金融機関。決済日に買主から売買代金の残金を受け取り、鍵と物件を引き渡します。同日に(1)抵当権抹消登記(ローンがある場合)(2)所有権移転登記を司法書士に委任します。固定資産税・都市計画税の日割り精算も行います(起算日は関東1/1、関西4/1が一般的)。仲介手数料の残金も支払います(民法 第555条、宅地建物取引業法 第46条)。

決済日に必要な書類一式

登記識別情報通知(権利証)、実印、印鑑証明書(発行3ヶ月以内)、住民票、固定資産評価証明書(最新年度)、本人確認書類、鍵一式、建築関連書類、設備の取扱説明書。印鑑証明書は2〜3通用意しておくと安心です。

引渡し後の手続き

引越し・退去(居住中の場合)

引渡し日までに退去を完了させます。退去後の残置物は買主とのトラブルの原因になるため、全て撤去しましょう。引越し日は引渡し日の前日までに完了させるか、引渡し日の午前中に行い午後に決済する段取りが一般的です。

火災保険の解約・返戻金請求

届出先: 保険会社・保険代理店。引渡しが完了したら速やかに火災保険を解約します。保険期間の残りに応じて返戻金を受け取れます。解約手続きを忘れると保険料を余分に支払い続けることになります。地震保険に加入している場合は併せて解約しましょう(保険法 第27条)。

管理組合への届出(マンションの場合)

届出先: マンションの管理組合・管理会社。所有者変更届の提出、管理費・修繕積立金の引落し口座変更、駐車場・駐輪場の解約などがあります。実際の届出は不動産会社が代行することが多いですが、完了確認は自分で行いましょう(区分所有法 第6条)。

ライフラインの停止・名義変更

電気・ガス・水道・インターネット回線・NHKの停止または名義変更を忘れずに行いましょう。引渡し日の前日または当日に停止するのが一般的です。ガスの閉栓は立会いが必要な場合があります。

確定申告(売却の翌年2〜3月)

譲渡所得の確定申告 法定手続き

届出先: 住所地の税務署またはe-Tax。売却の翌年2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。売却益が出なかった場合でも、特別控除や損益通算の特例を受けるには確定申告が必要です。譲渡所得の計算式は「収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額」です。取得費不明の場合は収入金額の5%を概算取得費にできますが、税額が高くなりがちです(所得税法 第33条・第120条)。

税率は所有期間で約2倍違う

所有期間は売却した年の1月1日時点で判定します。5年以下(短期)は所得税30.63%+住民税9%=約39.63%。5年超(長期)は所得税15.315%+住民税5%=約20.315%。10年超の居住用財産はさらに軽減税率の特例があります(租税特別措置法 第31条・第32条・第31条の3)。

譲渡所得1,000万円の場合の税額比較

5年以下(短期)

約396万円
5年超(長期)

約203万円
10年超(軽減)

約142万円

短期と長期で約193万円、短期と10年超で約254万円の差があります。売却時期を数ヶ月ずらすだけで税額が半分以下になる場合があります。

譲渡所得の計算例を見る(3,000万円で売却した場合)

前提条件: 15年前に2,000万円(建物1,200万円+土地800万円)で購入したマイホームを3,000万円で売却。仲介手数料は約105万円。

収入金額 3,000万円
取得費(購入価格 − 減価償却費) 約1,530万円
譲渡費用(仲介手数料等) 約105万円
譲渡所得 約1,365万円
3,000万円特別控除 −1,365万円
課税譲渡所得 0円(税金なし)

3,000万円控除のおかげで税金はゼロになります。ただし確定申告をしなければこの特例は適用されません。申告しない場合、約277万円(長期譲渡所得税率20.315%)を払うことになります。

譲渡損失の損益通算・繰越控除(居住用財産で損失が出た場合)

マイホームを売却して損失が出た場合、一定の要件を満たせば他の所得(給与所得等)と損益通算でき、控除しきれない損失は翌年以降3年間繰り越せます。要件は(1)居住用財産であること(2)所有期間が5年超(3)買換えの場合は新居の住宅ローンが10年以上あること。確定申告が必要です(租税特別措置法 第41条の5・第41条の5の2)。

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不動産売却の確定申告は特例の判断が難しいため、税理士への相談がおすすめです。3,000万円特別控除や買換え特例の適用可否で税額が数百万円変わることもあります。税理士を探す

パターン別の注意点

マイホーム売却の場合

マイホーム(居住用財産)の売却では、複数の税制優遇が利用できる可能性があります。

  • 3,000万円特別控除 ― 譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。売却益が3,000万円以下なら譲渡所得税がゼロになります。所有期間の長短は問いません(租税特別措置法 第35条)。
  • 10年超所有の軽減税率 ― 課税譲渡所得6,000万円以下の部分は税率14.21%に軽減されます。3,000万円控除と併用可能です(租税特別措置法 第31条の3)。
  • 買換え特例 ― 売却額より高い物件に買い換えた場合、譲渡所得税を繰り延べできます。ただし3,000万円控除との併用はできません(租税特別措置法 第36条の2)。

3,000万円控除を受けるには確定申告が必須

税額がゼロになる場合でも、確定申告をしなければ特例は適用されません。「税金がかからないから申告不要」と勘違いする人が非常に多いです。申告を忘れると特例が受けられず、本来不要だった税金を支払うことになります。

投資用物件の場合

投資用・賃貸用・別荘の売却では、居住用財産の特例(3,000万円控除、軽減税率、買換え特例)は一切使えません。純粋に譲渡所得に対して短期・長期の税率で課税されます。建物部分は減価償却費を差し引いて取得費を計算する必要があります。

ローン残債がある場合

売却代金でローンを完済できるかどうかがポイントです。売却額がローン残債を上回れば問題ありませんが、下回る場合(オーバーローン)は自己資金で差額を補填するか、金融機関と協議して任意売却を検討する必要があります。抵当権が抹消できなければ売却自体が進みません。

相談者
相談者

ローン残債が2,500万円あるのに、査定額は2,200万円です。売却は無理ですか。

ナビ
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差額の300万円を自己資金で補填できれば売却は可能です。自己資金がない場合は、金融機関に相談して「住み替えローン」(残債を新しい住宅ローンに上乗せ)を利用する方法もあります。ただし借入額が増えるため審査は厳しくなります。どうしても難しい場合は任意売却を検討しますが、信用情報に影響するため最後の手段です。

売却前に「取得費の証拠」を探しておく

購入時の売買契約書、仲介手数料の領収書、登記費用の領収書、リフォーム費用の領収書。これらが見つからないと、取得費は売却価格の5%(概算取得費)で計算され、税額が大幅に増えます。3,000万円で売却した場合、実際の取得費2,000万円なら譲渡所得は約900万円ですが、概算取得費(150万円)だと約2,745万円になります。書類1枚で数百万円の差が出ます。

不動産売却手続き一覧表

手続き名 届出先 期限・目安
不動産の査定依頼 不動産会社(複数社) 3ヶ月前まで
媒介契約の締結 不動産会社 2.5ヶ月前(法定)
測量・境界確定 土地家屋調査士 2ヶ月前まで(1〜3ヶ月かかる)
建物状況調査(インスペクション) 建築士事務所 2ヶ月前まで
ハウスクリーニング・内覧準備 クリーニング業者 1.5ヶ月前まで
売買契約の締結 不動産会社の事務所 1ヶ月前(法定)
住宅ローンの一括返済手続き 金融機関 2週間前まで
抵当権抹消登記 法務局(司法書士代理) 決済日に同日申請(法定)
残金決済・物件引渡し 金融機関 売却当日(法定)
引越し・退去 引越し業者 引渡し日まで
火災保険の解約 保険会社 引渡し後速やかに
管理組合への届出 管理組合・管理会社 引渡し後速やかに
ライフラインの停止 各事業者 引渡し日前後
住所変更等の手続き 市区町村役場・各機関 転入から14日以内
譲渡所得の確定申告 税務署・e-Tax 翌年2/16〜3/15(法定)


まとめ

不動産売却の手続きは数が多く、税金の計算も複雑ですが、「順番を守る」「書類を早めに揃える」「確定申告を忘れない」の3原則を押さえれば、大きなトラブルはほぼ防げます。

1. 境界確定と抵当権抹消が売却の大前提。境界が未確定では売買契約が結べず、抵当権が残っていては所有権を移転できません。いずれも時間がかかるため、早めに着手しましょう。

2. 所有期間で税率が約2倍違う。5年以下は約39.63%、5年超は約20.315%。売却時期を調整できるなら5年超を待つことも検討しましょう。

3. 確定申告は税額ゼロでも必須。3,000万円特別控除や損益通算の特例を受けるには、必ず確定申告が必要です。忘れると本来不要な税金を支払うことになります。

売却価格3,000万円の場合の費用シミュレーション
費目 金額(税込目安)
仲介手数料(3%+6万円+消費税) 約105.6万円
印紙税(売買契約書) 1万円
抵当権抹消登記 1~2万円
測量費(戸建ての場合) 30~80万円
ハウスクリーニング 3~10万円
引越し費用 10~30万円
合計(税金除く) 約150~230万円

手元に残る金額は売却価格から上記の費用とローン残債を差し引いた額になります。仲介手数料だけで100万円を超えるため、事前に資金計画を立てておきましょう。

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