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妊娠がわかると、出産までの間に、市区町村・勤務先・健康保険・医療機関に対していくつもの届出や申請をすることになります。最初は妊娠届です。医療機関で心拍が確認できたら住所地の市区町村に届け出て、母子健康手帳と妊婦健診の受診券を受け取ります。妊娠11週ごろまでの届出が勧められています。
お金に関わる手続きも多くあります。妊娠届出時の面談で申請する妊婦のための支援給付(1回目・5万円)、国民年金と国民健康保険の産前産後の免除・軽減、出産育児一時金(1児につき50万円)を医療機関へ直接支払ってもらう手続き。どれも自分で申請や届出をして初めて受けられるものです。
会社員やパートとして働いている方は、勤務先への報告と産休の請求があります。産前休業は出産予定日の6週間前(双子以上は14週間前)から本人が請求して取るもので、勤務先の健康保険に入っている方は、産休中の社会保険料も会社を通じて免除されます。
この記事では、妊娠がわかった時期から産休に入るころまでの手続きを、出産予定日から逆算した順番で整理しました。出生届や児童手当など、生まれた後の手続きは出産の手続きガイドで扱います。

妊娠がわかった時期:妊娠届・母子健康手帳・健診・分娩予約
妊娠届の提出と母子健康手帳の交付
医療機関で妊娠と心拍が確認できたら、住所地の市区町村に妊娠届を出します。届出をすると母子健康手帳と妊婦健診の受診券が交付され、以後の健診・出産・予防接種の記録がここに集まります。届出時の面談で妊婦のための支援給付(1回目・5万円)も申請できます。
妊娠11週ごろまでの届出が勧められています。届出時に保健師などとの面談があり、妊婦のための支援給付の申請書もここで渡されます。
届出先・窓口: 住所地の市区町村役場(保健センター・子育て世代包括支援センター) / 時期・期限: 妊娠10週ごろ / 費用: 無料 / 根拠: 母子保健法 第15条・第16条
妊婦のための支援給付(1回目)の申請
2025年4月から法律に基づく給付になった制度で、妊娠届出時の面談で申請すると5万円が支給されます。出産後には胎児の数に応じた2回目(1人につき5万円)があり、こちらは出産後の届出で受け取ります。医師が心拍を確認した後の妊娠が対象です。
2回目は出産後の新生児訪問の時期に胎児の数を届け出て受け取ります。心拍確認後の流産・死産も対象です。
届出先・窓口: 住所地の市区町村役場(妊娠届出時の面談で申請) / 時期・期限: 妊娠11週ごろ / 費用: 無料
妊婦健診の受診(受診券の利用)
受診券を使って定期的に妊婦健診を受けます。公費助成は14回程度で、妊娠23週までは4週間に1回、35週までは2週間に1回、36週以降は毎週が目安です。受診券が使えない医療機関で受けた分は、後で市区町村に助成を申請できることがあります。
受診券は住所地の市区町村が契約した医療機関でだけ使えます。引越しをしたら新住所の市区町村で受診券を交換します。
届出先・窓口: 産婦人科の医療機関(市区町村と契約している医療機関) / 時期・期限: 妊娠11週ごろ / 費用: 受診券の範囲は公費負担(超えた検査は自己負担) / 根拠: 母子保健法 第13条
出産する医療機関の決定と分娩予約
出産する病院・クリニック・助産院を決めて分娩予約をします。人気の施設は妊娠初期で予約が埋まることがあるので、健診先と分娩先が違う場合は早めに動きます。出産育児一時金の直接支払制度が使えるか、産科医療補償制度に加入しているかもこのときに確認します。
分娩予約金を求める施設があります。里帰り出産をする場合は里帰り先の施設にも早めに予約を入れます。
届出先・窓口: 出産を希望する医療機関 / 時期・期限: 妊娠11週ごろ / 費用: 予約金の有無・金額は医療機関による
勤務先への妊娠の報告と母性健康管理の措置の確認
上司や人事に妊娠を伝え、健診のための時間の確保、通勤緩和や休憩、業務の軽減など、法律で事業主に義務づけられている措置を確認します。医師から指導があったときは母健連絡カードに書いてもらい、会社に提出します。妊娠を理由にした解雇や不利益な扱いは禁止されています。
つわりや切迫早産で医師から休業の指導が出た場合は、母健連絡カードを提出すると会社は休業などの措置を取る義務があります。妊娠中と産後1年以内の解雇は原則無効です(均等法第9条)。
届出先・窓口: 勤務先(上司・人事担当) / 時期・期限: 妊娠13週ごろ / 費用: 無料 / 根拠: 男女雇用機会均等法 第12条・第13条
安定期:産休の計画・両親学級・里帰りと保育園の準備・保険料の免除
両親学級・母親学級の受講
市区町村の保健センターや出産する医療機関が開く教室で、妊娠中の過ごし方、出産の流れ、沐浴やおむつ替えを学びます。父親向けの回や土日開催もあります。人気の回は定員があるので、安定期に入ったら予約します。
分娩予約先の教室は、その施設での出産の流れや持ち物の説明を兼ねていることが多く、受講を条件にしている施設もあります。
届出先・窓口: 住所地の市区町村役場(保健センター)または出産する医療機関 / 時期・期限: 妊娠19週ごろ / 費用: 市区町村の教室は無料が多い(医療機関の教室は有料の場合あり)
里帰り先での健診・分娩の手配と受診券を利用できない分の助成の確認
里帰り先の医療機関では住所地の受診券が使えないのが普通です。里帰り中の健診は自費で受けて領収書と未使用の受診券を保管し、後で住所地の市区町村に費用の助成を申請します。申請方法と期限は市区町村ごとに違うので、里帰り前に確認しておきます。
出産後の手続き(出生届・児童手当・乳幼児医療費助成)は住所地の市区町村で行うものが多いので、里帰り中に誰が窓口へ行くかも決めておきます。出生届は里帰り先の市区町村でも出せます。
届出先・窓口: 里帰り先の医療機関 + 住所地の市区町村役場(母子保健担当) / 時期・期限: 妊娠20週ごろ / 費用: 里帰り先の健診は一度自費で支払い、後日助成(上限・方法は市区町村による)
保育園の情報収集と見学
生まれてから1年以内に預ける予定なら、妊娠中から情報を集めます。認可保育園の4月入園は前年の秋に申込みが締め切られる市区町村が多く、0歳児クラスは生後57日以降など受入月齢の下限もあります。見学は妊娠中の方が動きやすい時期です。
申込みの本番は「子どもの入園・入学」プランで案内します。育休からの復帰時期と申込時期の関係を先に確認しておくと計画が立てやすくなります。
届出先・窓口: 住所地の市区町村役場(保育担当窓口)と各保育園 / 時期・期限: 妊娠21週ごろ / 費用: 無料
国民年金保険料の産前産後免除の届出
国民年金の第1号被保険者(自営業・学生・扶養に入っていない無職の方など)は、出産予定月の前月から4か月分(多胎は3か月前から6か月分)の保険料が免除されます。届出は出産予定日の6か月前からできます。免除された期間も保険料を納めたものとして年金額に反映されます。
出産後に届け出ることもできますが、免除期間の保険料を先に納めていると還付の手続きが増えるので、予定日の6か月前を過ぎたら早めに届け出ます。配偶者の扶養(第3号被保険者)の方はもともと保険料負担がないため対象外です。
届出先・窓口: 住所地の市区町村役場(国民年金担当窓口)またはマイナポータル / 時期・期限: 妊娠23週ごろ / 費用: 無料 / 根拠: 国民年金法 第88条の2
国民健康保険料の産前産後軽減の届出
国民健康保険に加入している妊婦は、出産予定月の前月から4か月分(多胎は3か月前から6か月分)の所得割と均等割の保険料が軽減されます。2024年1月に始まった全国の制度で、届出は出産予定日の6か月前からできます。
国民年金の免除届と同じ日に同じ窓口で出せる市区町村が多いので、まとめて手続きします。世帯主が別の人でも、妊婦本人の分が対象です。
届出先・窓口: 住所地の市区町村役場(国民健康保険担当窓口) / 時期・期限: 妊娠23週ごろ / 費用: 無料
産前休業の請求(多胎の場合は14週間前から)
双子以上の場合、産前休業は出産予定日の14週間前から請求できます。産前休業は本人の請求で始まるので、いつから休むかを決めて会社に届け出ます。産後8週間は本人の希望にかかわらず就業できません。
産休中の給与が出ない場合は出産手当金(健康保険)の対象になります。申請は産休に入ってから行うので、「出産」プランで案内します。
届出先・窓口: 勤務先(人事担当) / 時期・期限: 妊娠24週ごろ / 費用: 無料 / 根拠: 労働基準法 第65条
妊娠後期:産科医療補償制度・直接支払制度・産休の請求
産科医療補償制度の登録証の受領
分娩する医療機関が産科医療補償制度に加入していると、妊婦に登録証が交付されます。出産で赤ちゃんが重度の脳性まひになった場合に補償を受けるための制度で、掛金1万2千円は出産育児一時金の50万円に含まれています。登録証は母子健康手帳に貼り、子どもが5歳になるまで保管します。
未加入の医療機関で出産した場合、出産育児一時金は48万8千円になります。加入の有無は分娩予約のときに確認しておきます。
届出先・窓口: 出産する医療機関 / 時期・期限: 妊娠28週ごろ / 費用: 無料(掛金1万2千円は出産育児一時金に含まれる)
出産育児一時金の直接支払制度の手続き
出産育児一時金(1児につき50万円)を健康保険から医療機関へ直接支払ってもらう制度です。退院までに医療機関が用意する合意文書に同意すれば、窓口で払うのは50万円を超えた差額だけで済みます。小さな施設では受取代理制度を使うことがあり、その場合は出産予定日の2か月前から加入先の健康保険に申請します。
配偶者の扶養に入っている方は家族出産育児一時金として同額が出ます。直接支払制度を使わずに自分で全額を払い、後から健康保険に請求することもできます。
届出先・窓口: 出産する医療機関(受取代理制度の場合は加入している健康保険) / 時期・期限: 妊娠30週ごろ / 費用: 無料 / 根拠: 健康保険法 第101条
産前休業の請求(出産予定日の6週間前から)
産前休業は出産予定日の6週間前から本人の請求で取れます。いつから休むかを決めて会社に届け出ます。予定日を過ぎても産前休業のまま続き、産後8週間は本人が希望しても就業できません。産休中に給与が出ない場合は出産手当金の対象です。
育児休業を続けて取る場合は、開始予定日の1か月前までに会社へ申し出る必要があります。出産手当金と育児休業給付金の申請は「出産」プランで案内します。
届出先・窓口: 勤務先(人事担当) / 時期・期限: 妊娠32週ごろ / 費用: 無料 / 根拠: 労働基準法 第65条
産休に入る時期:社会保険料の免除・限度額適用認定証・チャイルドシート・入院の準備
産休中の社会保険料免除の申出(会社経由)
勤務先の健康保険・厚生年金に入っている方は、産前産後休業中の保険料が本人負担分・会社負担分とも免除されます。会社が「産前産後休業取得者申出書」を年金事務所や健康保険組合に出す手続きなので、産休に入る前に人事に依頼します。免除中も被保険者のままで、将来の年金額も減りません。
免除は産休を開始した月から終了日の翌日が属する月の前月まで。出産日が予定日とずれた場合は会社が変更届を出します。
届出先・窓口: 勤務先(事業主が年金事務所・健康保険組合へ申出) / 時期・期限: 妊娠34週ごろ / 費用: 無料 / 根拠: 健康保険法 第159条の3・厚生年金保険法 第81条の2の2
限度額適用認定証の準備(帝王切開など保険診療になる場合)
通常の分娩は保険診療ではありませんが、帝王切開や切迫早産の入院は保険診療になり、高額療養費制度の対象です。マイナ保険証で受診すれば窓口で自動的に限度額までの支払いになります。マイナ保険証を使わない方は、加入している健康保険に限度額適用認定証を申請しておくと、退院時の支払いが限度額までで済みます。
認定証が間に合わなかった場合も、後から高額療養費の払い戻しを申請できます。民間の医療保険に入っている方は、帝王切開が手術給付の対象になることがあるので約款を確認します。
届出先・窓口: 加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村役場の国民健康保険担当) / 時期・期限: 妊娠36週ごろ / 費用: 無料
チャイルドシートの用意(退院のときの車移動に必要)
6歳未満の子どもを車に乗せるときはチャイルドシートの使用が法律で義務づけられており、退院で初めて車に乗る日から必要です。新生児から使えるタイプを選び、産休に入ったら車に取り付けて練習しておきます。使う期間が短い場合はレンタルもあります。
タクシーは使用義務の例外ですが、安全のため新生児対応シートのあるタクシー会社を選ぶ方法もあります。
届出先・窓口: 販売店・レンタル業者(自治体の貸出制度がある場合も) / 時期・期限: 妊娠36週ごろ / 費用: 製品・レンタルの内容による / 根拠: 道路交通法 第71条の3第3項
入院の準備と出産後の手続きの事前確認
入院バッグに母子健康手帳・資格確認書またはマイナ保険証・診察券・分娩予約票・印鑑・現金やカードをまとめます。出産後は出生届が14日以内、児童手当は出生の翌日から15日以内など期限の短い手続きが続くので、誰がいつ窓口へ行くかを先に決めておきます。続きは「出産」プランで日付つきで案内します。
出産後の手続きは「出産」プランに出産日を入れると、出生届・児童手当・健康保険の加入・乳幼児医療費助成・出産手当金・育児休業給付金が期限順に並びます。
届出先・窓口: 自宅 / 時期・期限: 妊娠36週ごろ / 費用: 分娩費用の自己負担分は医療機関による(出産育児一時金50万円を差し引いた額)
働き方と健康保険で変わる手続き
会社員・公務員として勤務先の健康保険に入っている場合
勤務先への報告と母性健康管理の措置の確認、産前休業の請求、産休中の社会保険料の免除の申出(会社が年金事務所や健康保険組合に出します)が加わります。産休中に給与が出ない期間は、勤務先の健康保険から出産手当金が支給されます。申請は産休に入ってから会社を通じて行うことが多く、出産の手続きガイドで扱います。つわりや切迫早産で療養のため働けず給与が出ない場合は、休み始めて4日目から傷病手当金の対象です。
自営業・フリーランスなど国民健康保険と国民年金に入っている場合
国民年金の第1号被保険者は、出産予定月の前月から4か月分(双子以上は3か月前から6か月分)の保険料が免除され、免除された期間も保険料を納めたものとして年金額に反映されます。国民健康保険に加入している妊婦も、同じ期間の所得割と均等割の保険料が軽減されます(2024年1月から全国で始まった制度)。どちらも出産予定日の6か月前から届け出られ、市区町村の窓口でまとめて出せることが多いです。国民健康保険には出産手当金はありません。
配偶者の扶養に入っている場合
配偶者の勤務先の健康保険の扶養に入っている方は、国民年金は第3号被保険者としてもともと保険料の負担がないため、産前産後免除の届出は不要です。出産育児一時金は、配偶者の健康保険から家族出産育児一時金として同じ額(1児につき50万円)が支給されます。妊娠届・妊婦健診・支援給付・直接支払制度の手続きは、働き方にかかわらず同じです。
妊娠中の手続き一覧表(届出先・時期)
| 手続き名 | 届出先・窓口 | 時期・期限 |
|---|---|---|
| 妊娠届の提出と母子健康手帳の交付 | 住所地の市区町村役場 | 妊娠10週ごろ |
| 妊婦のための支援給付(1回目)の申請 | 住所地の市区町村役場 | 妊娠11週ごろ |
| 妊婦健診の受診(受診券の利用) | 産婦人科の医療機関 | 妊娠11週ごろ |
| 出産する医療機関の決定と分娩予約 | 出産を希望する医療機関 | 妊娠11週ごろ |
| 勤務先への妊娠の報告と母性健康管理の措置の確認 | 勤務先 | 妊娠13週ごろ |
| 両親学級・母親学級の受講 | 住所地の市区町村役場または出産する医療機関 | 妊娠19週ごろ |
| 里帰り先での健診・分娩の手配と受診券を利用できない分の助成の確認 | 里帰り先の医療機関 + 住所地の市区町村役場 | 妊娠20週ごろ |
| 保育園の情報収集と見学 | 住所地の市区町村役場と各保育園 | 妊娠21週ごろ |
| 国民年金保険料の産前産後免除の届出 | 住所地の市区町村役場またはマイナポータル | 妊娠23週ごろ |
| 国民健康保険料の産前産後軽減の届出 | 住所地の市区町村役場 | 妊娠23週ごろ |
| 産前休業の請求(多胎の場合は14週間前から) | 勤務先 | 妊娠24週ごろ |
| 産科医療補償制度の登録証の受領 | 出産する医療機関 | 妊娠28週ごろ |
| 出産育児一時金の直接支払制度の手続き | 出産する医療機関 | 妊娠30週ごろ |
| 産前休業の請求(出産予定日の6週間前から) | 勤務先 | 妊娠32週ごろ |
| 産休中の社会保険料免除の申出(会社経由) | 勤務先 | 妊娠34週ごろ |
| 限度額適用認定証の準備(帝王切開など保険診療になる場合) | 加入している健康保険 | 妊娠36週ごろ |
| チャイルドシートの用意(退院のときの車移動に必要) | 販売店・レンタル業者 | 妊娠36週ごろ |
| 入院の準備と出産後の手続きの事前確認 | 自宅 | 妊娠36週ごろ |
「時期・期限」の「妊娠◯週ごろ」は法定期限ではなく、てつづきナビの推奨時期です(出産予定日を妊娠40週0日として逆算しています)。
まとめ
妊娠中の手続きは、順番と期限を押さえれば一つずつ確実に進められます。とくに次の3点は外さないでください。
1. 医療機関で心拍が確認できたら、住所地の市区町村に妊娠届を出します。母子健康手帳と受診券を受け取り、面談で支援給付(1回目・5万円)も申請します。
2. 国民年金・国民健康保険に入っている方は、出産予定日の6か月前から産前産後の免除・軽減を届け出ます。働いている方は、産前休業(予定日の6週間前から)を会社に請求します。
3. 直接支払制度を使えば、退院時に払うのは50万円を超えた差額だけです。帝王切開などの保険診療には、マイナ保険証か限度額適用認定証で備えます。


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