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自然災害の手続き完全ガイド|被災後にやることを順番に解説

自然災害

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被災したとき、最初にやるべきことは「片付け」ではなく「写真を撮ること」です。

地震、台風、洪水――自然災害の後、一刻も早く元の生活に戻りたいという気持ちは当然です。しかし、散乱した家の中を片付け始めてしまうと、被害状況の証拠がなくなり、罹災証明書の認定や保険金の請求で不利になることがあります。

被災後に利用できる支援制度は14種類以上あります。そのほとんどが「罹災証明書」を起点にしています。この1枚の書類がないと、支援金も保険金も税金の減免も受けられません。

被災者支援制度で受け取れる金額の目安(全壊の場合)

被災者生活再建支援金(最大300万円)、災害弔慰金(最大500万円)、住宅応急修理制度(約70.6万円)、災害復興住宅融資(低利融資)、各種保険金、税金の減免。合計すると数百万円~1,000万円超の支援を受けられる可能性があります。ただし、全て自分で申請しなければ1円も受け取れません

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この記事では被災後の手続きを時系列で解説していますが、災害の種類や被害の程度によって必要な手続きは大きく異なります。下のツールなら7つの質問に答えるだけで、あなたの状況に合った支援制度と手続きだけを抽出できます。

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自然災害手続きフロー図 — 被災直後から再建までの時系列
自然災害手続きの全体フロー(時系列順)


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被災直後 ― 安全確保と「証拠の保全」

安全確認・避難所への避難

身の安全が最優先です。避難所では避難者名簿に必ず記入してください。この名簿が支援物資の配布や安否確認に使われます。在宅避難の場合でも、市区町村に被災状況を連絡しておきましょう(災害対策基本法第49条の4~第49条の9)。

片付ける前に、写真を撮る。これが鉄則です。

住宅の外観を4方向から、浸水の痕跡(壁のシミ等)、室内の被害箇所を全部屋、家財(家電・家具)の被害をスマホで撮影してください。水位がわかるようにメジャーを当てた写真も有効です。日付が自動記録される設定を確認しておきましょう。この写真がなければ、罹災証明書の認定も保険金の請求も不利になります。

相談者
相談者

地震で家が傾いています。危険で中に入れないのですが、写真を撮るために入らないとだめですか。

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絶対に無理をしないでください。外観4方向の写真だけでも罹災証明書の申請は可能です。室内の撮影は行政の応急危険度判定が完了し、安全が確認されてからにしましょう。余震で倒壊するリスクがある建物には入らないでください。

罹災証明書の申請

市区町村役場に申請します。被災後の支援制度のほぼ全てに必要な「最重要書類」です。全壊・大規模半壊・半壊・準半壊・一部損壊の5段階で認定されます。認定結果に不服があれば再調査を申請できます。とにかく早く申請しましょう。調査員の訪問まで数日~数週間かかるため、早い者勝ちではありませんが、申請が遅れると支援金の受取も遅れます(災害対策基本法第90条の2)。

被災届出証明書の申請

罹災証明書より簡易な証明書です。住宅以外の被害(家財・車両など)や、罹災証明書の発行を待てない緊急時に使えます。窓口で自己申告すれば即日発行されることが多いです(災害対策基本法第90条の2第2項)。

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罹災証明書の「一部損壊」と「準半壊」の境界は、受けられる支援に大きな差があります。認定結果に疑問がある場合は、遠慮なく再調査を申請してください。制度上認められた権利です。

罹災証明書の被害認定基準(5段階)を見る
認定区分 損害割合 生活再建支援金(基礎)
全壊 50%以上 100万円
大規模半壊 40%以上50%未満 50万円
中規模半壊 30%以上40%未満 なし(加算支援金のみ)
半壊 20%以上30%未満 なし
準半壊・一部損壊 20%未満 なし

出典: 内閣府「被災者生活再建支援制度の概要」。損害割合は住家の経済的被害の割合で判定されます。

1週間以内 ― 支援制度の申請を始める

保険会社への連絡・保険金請求

火災保険は「火災」だけでなく台風・水害・落雷もカバーします。地震保険は地震・噴火・津波が対象です。保険証券を紛失していても契約は有効なので、保険会社に電話すれば確認できます。大規模災害時は請求期限が延長されることがあります(保険法第21条)。

被災者生活再建支援金の申請(最大300万円)

全壊で基礎支援金100万円+加算支援金(建設・購入200万円/補修100万円/賃借50万円)。大規模半壊は基礎50万円+加算。単身世帯は各3/4です。申請期限は基礎支援金が13ヶ月以内、加算支援金が37ヶ月以内です。返済不要の給付金なので、該当する場合は必ず申請してください(被災者生活再建支援法第3条)。

知っておくと得するポイント

被災者生活再建支援金、保険金、税金の減免は全て併用できます。「保険金をもらったから支援金は出ない」ということはありません。制度ごとに独立しているので、該当するものは全て申請しましょう。

被災者生活再建支援金の給付額(世帯人数2人以上)

全壊+建設

300万円
全壊+補修

200万円
全壊+賃借

150万円
大規模半壊

最大250万円
基礎支援金加算支援金
相談者
相談者

被災者生活再建支援金は所得制限がありますか。また、税金はかかりますか。

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所得制限はありません。年収に関係なく被害の程度で支給されます。また、非課税なので所得税・住民税はかかりません。差し押さえも禁止されています(被災者生活再建支援法第6条)。返済不要の給付金なので、該当するなら必ず申請しましょう。

応急仮設住宅・みなし仮設の申し込み

自宅に住めなくなった場合が対象です。プレハブ型仮設住宅のほか、民間賃貸を行政が借り上げる「みなし仮設住宅」があります。家賃は原則無料です。入居期間は原則2年以内です(災害救助法第4条第1項第1号)。

住宅の応急修理制度の申請

大規模半壊・半壊・準半壊の住宅が対象です。居室・台所・トイレなど最小限の修理を自治体が行う制度で、限度額は約70.6万円(2025年度基準)です。自己負担はありません。自治体が業者に直接支払うので、被災者が立て替える必要もありません(災害救助法第4条第1項第7号)。

自宅の修繕・リフォームの見積もり

応急修理制度の対象外の修繕や、本格的なリフォームが必要な場合は、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。Re:estは全国のリフォーム業者を無料で一括比較できるサービスで、水害・火災後の修繕にも対応しています。見積もりは無料で、複数社の提案を比較してから依頼先を決められます。

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自動車の保険金請求

車両保険に加入していれば請求可能です。ただし地震・津波・噴火は車両保険の対象外です(特約がある場合を除く)。台風・水害・火災は一般的にカバーされます。車が水没した場合は絶対にエンジンをかけないでください。ショートして火災を起こす危険があります(保険法第21条)。

復旧期 ― 「お金」に関する支援を漏れなく活用

公共料金の支払猶予の申請

電気・ガス・水道・電話・NHK受信料の支払期限が延長されます。災害救助法が適用された地域では自動的に猶予措置が取られることもあります。各事業者に電話で申し出るだけで大丈夫です。

税金の減免・猶予の申請

所得税は「災害減免法」と「雑損控除」の有利な方を選べます。雑損控除は損失額を所得から差し引けて、引ききれない分は3年間繰り越せます(特定非常災害なら5年間)。固定資産税も被害割合に応じて減免されます(災害減免法、所得税法第72条)。

「災害減免法」と「雑損控除」の違いを見る
災害減免法 雑損控除
対象 住宅・家財の損害が時価の1/2以上 住宅・家財・衣類等(事業用を除く)
所得制限 合計所得1,000万円以下 なし
効果 所得税の減免(全額~1/4免除) 損失額を所得から控除
繰越 不可(その年のみ) 3年間(特定非常災害は5年間)

どちらか有利な方を選べます(併用は不可)。損害額が大きい場合は雑損控除、所得が低い場合は災害減免法が有利になることが多いです。

国民健康保険料・介護保険料の減免申請

収入が減少した場合や住宅に大きな被害を受けた場合に保険料が減免されます。医療費の窓口負担が減免される場合もあります。「申請しないと適用されない」制度なので、市区町村の窓口で必ず確認してください(国民健康保険法第77条)。

住民票の異動 法定手続き・14日以内

避難先に長期間住む場合は移転後14日以内に届出が必要です。一時的な避難なら不要です。大規模災害時は期限が延長されます。子どもの転校では「区域外就学」(被災地の学校に在籍したまま避難先の学校に通う)も認められます(住民基本台帳法第22条~第24条)。

再建期 ― 住宅の再建に向けた融資

災害復興住宅融資の申請

住宅金融支援機構による低利融資です。全壊・大規模半壊・半壊が対象です。返済期間は最長35年で、通常の住宅ローンより金利が低く設定されています。申込期限は原則として災害発生日から2年以内です。被災者生活再建支援金との併用も可能です(独立行政法人住宅金融支援機構法第13条)。

悪質な「災害便乗商法」に注意

国民生活センターによると、災害後に寄せられる「住宅修理」に関する相談は大規模災害のたびに急増しています。2024年の能登半島地震後も多数の相談が寄せられました。「今すぐ契約しないと工事が遅れる」「保険金で無料修理できる」と急かす業者は要注意です。クーリングオフ(訪問販売は契約書面受取後8日以内)が使える場合があるので、契約してしまっても諦めないでください(特定商取引法第9条)。

相談者
相談者

「保険で全額まかなえる」と言われて屋根の修理を契約してしまいました。冷静に考えると高すぎる気がするのですが。

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訪問販売であれば契約書面を受け取ってから8日以内ならクーリングオフで無条件解約できます。書面が交付されていなければ8日を過ぎても可能です。まずは消費者ホットライン(188番)に電話してください。保険金の請求額は保険会社が独自に査定するので、業者の「全額出る」という説明を鵜呑みにしないことが重要です。

パターン別 ― 被害の程度で支援が変わる

全壊・大規模半壊の場合

受けられる支援が最も手厚いケースです。被災者生活再建支援金(最大300万円)、応急仮設住宅(家賃無料)、災害復興住宅融資を優先的に申請しましょう。罹災証明書の認定が「全壊」か「大規模半壊」かで支援金の額が変わるため、認定結果はしっかり確認してください。

半壊・一部損壊の場合

住宅の応急修理制度(約70.6万円まで自己負担なし)が使える可能性があります。ただし「一部損壊」と「準半壊」の境界で支援内容に大きな差があります。認定結果に納得できなければ再調査を申請できます。火災保険の補償範囲も改めて確認しましょう。

避難中・仮住まいの場合

生活基盤の維持が最優先です。免許証・保険証・通帳を紛失した場合、大規模災害時は手数料免除で再発行できることがあります。住民票の異動は長期避難の場合のみ必要です。公共料金の支払猶予は各事業者に申し出てください。

自然災害手続き一覧表

手続き名 届出先 期限・目安
安全確認・避難 指定避難所 直後
罹災証明書の申請 市区町村役場 1週間以内(推奨)
被災届出証明書の申請 市区町村役場 1週間以内(推奨)
保険会社への連絡 保険会社 2週間以内(推奨)
被災者生活再建支援金 市区町村役場 基礎:13ヶ月/加算:37ヶ月
災害弔慰金・障害見舞金 市区町村役場 1ヶ月以内(推奨)
応急仮設住宅の申し込み 市区町村役場 2週間以内(推奨)
住宅の応急修理制度 市区町村役場 1ヶ月以内(推奨)
自動車の保険金請求 自動車保険会社 2週間以内(推奨)
公共料金の支払猶予 各事業者 1週間以内(推奨)
税金の減免・猶予 税務署 / 市区町村 2ヶ月以内(推奨)
国保・介護保険料の減免 市区町村役場 2ヶ月以内(推奨)
住民票の異動 市区町村役場 14日以内(法定)
災害復興住宅融資 住宅金融支援機構 2年以内

無料の相談窓口を活用しましょう

被災者支援総合窓口(各市区町村)に行けば、複数の制度をまとめて案内してもらえます。弁護士への相談は法テラス(0120-078309)が無料です。被災地では弁護士会が無料相談会を開催することも多いです。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが再建への近道になります。

まとめ

被災後は精神的にも肉体的にも余裕がありません。それでも、知っているか知らないかで受け取れる支援が数百万円単位で変わることがあります。この3つだけは覚えておいてください。

1. 写真を撮ってから片付ける。住宅の外観4方向+室内+家財。この記録がなければ、保険金も罹災証明書も不利になります。

2. 罹災証明書を最優先で申請。全ての支援制度の入口になる最重要書類です。認定結果に不服があれば再調査を申請できます。

3. 支援制度は全て併用できる。被災者生活再建支援金(最大300万円)、保険金、税金の減免、応急修理制度――該当するものは全て申請しましょう。

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