てつづきナビ コラム

退職・失業の手続き完全ガイド|届出の順番・届出先・必要書類を一覧で解説

退職・失業

退職した瞬間から、会社がやってくれていたことをすべて自分でやることになります。

健康保険、年金、住民税、失業給付。会社員として当たり前に天引きされていたものが、退職した翌日から自分の手続きになります。しかも、健康保険の任意継続は退職日から20日以内。国民年金への切替は14日以内。1日でも遅れると申請できなくなるものがあります。

「退職後のことは辞めてから考えよう」では間に合いません。この記事を読んで、退職前に全体像を把握しておいてください。

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退職手続きフロー図 — 退職後すぐから確定申告までの時系列
退職手続きの全体フロー(時系列順)

退職後すぐ:期限の短い手続きから片づける

まず離職票を確保する

離職票の受け取り

退職後10日以内に会社がハローワークに届出し、その後「離職票-1」「離職票-2」が届きます。届かない場合は会社に催促してください。それでもダメならハローワークに直接相談すれば交付を受けられます。離職票がないと失業給付の申請に進めません(雇用保険法 第7条)。

相談者
相談者

退職して2週間経つのに離職票が届きません。会社に問い合わせても「もう少し待ってくれ」と言われます。

ナビ
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会社は退職日の翌日から10日以内にハローワークに届出する義務があります(雇用保険法施行規則 第7条)。届かない場合は、住所地のハローワークに「離職票が届かない」と相談してください。ハローワークから会社に催促してもらえます。最悪の場合、ハローワークが職権で離職票を交付することもできるので、泣き寝入りする必要はありません。

健康保険の切替:最も期限が短い

退職後の健康保険は3つの選択肢があります。どれを選ぶかの判断は、退職前に済ませておくべきです。

健康保険の任意継続の申請 法定手続き・20日以内

退職前の健康保険を最長2年間継続できる制度です。保険料は全額自己負担(在職中の約2倍)ですが上限があります。扶養家族がいる場合は追加保険料なしで家族も継続できるため、国保より安くなるケースが多いです。退職日の翌日から20日以内が申請期限で、1日でも遅れると申請できません(健康保険法 第37条)。

国民健康保険への加入 法定手続き・14日以内

届出が遅れても資格喪失日に遡って加入となり、遡及分の保険料が請求されます。会社から「健康保険資格喪失証明書」を必ず取得してください。会社都合退職の場合は保険料軽減制度があり、前年の給与所得を30/100とみなして計算されます(国民健康保険法 第7条、第9条)。

家族の健康保険の扶養に入る手続き

年収見込みが130万円未満(60歳以上は180万円未満)であれば選択肢になります。ただし、失業給付の日額が3,612円以上だと扶養に入れない場合があります。家族の勤務先に確認してください(健康保険法 第3条第7項)。

任意継続と国保、どちらが得か?

扶養家族がいる場合は任意継続が有利なことが多いです(国保は家族ごとに保険料がかかります)。一方、会社都合退職なら国保の軽減制度が使えます。任意継続の申請期限は20日以内と短いので、退職前に両方の保険料を試算しておくのが鉄則です。

健康保険3つの選択肢の比較表を見る
項目 任意継続 国民健康保険 家族の扶養
申請期限 20日以内 14日以内 速やかに
保険料 在職時の約2倍(上限あり) 前年所得で計算 0円
扶養家族 追加料金なし 家族分も加算
期間 最長2年 制限なし 条件を満たす限り
会社都合の軽減 なし 前年所得を30/100に
条件 社保加入2ヶ月以上 特になし 年収130万円未満

失業給付の日額が3,612円以上(年収換算約130万円)の場合、受給中は家族の扶養に入れないことが多いです。受給終了後に扶養に切り替えるという方法もあります。

国民年金への切替

国民年金への切替(第2号→第1号) 法定手続き・14日以内

届出が遅れると未納期間が発生し、将来の年金額に影響します。月額17,510円(2025年度)。経済的に困難な場合は「失業等による特例免除」が使えます。離職票を添えて申請すれば全額免除が認められやすいです(国民年金法 第7条、第12条)。

相談者
相談者

退職後しばらく無収入になります。国民年金の保険料を払う余裕がないのですが、払わないとどうなりますか。

ナビ
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放置するのが最もまずい選択です。未納のままだと将来の年金が減るだけでなく、障害年金や遺族年金の受給資格を失う可能性もあります。退職した方は「失業等による特例免除」を申請してください。離職票を添えれば審査で本人の所得がゼロとみなされるので、全額免除が認められやすいです。免除期間も受給資格期間に算入されます。

免除された年金は追納できる

免除期間の年金を後から納める「追納」は10年以内なら可能です。再就職して収入が安定してから追納すれば、将来の年金額を満額に近づけられます。ただし2年を超えると加算金がつくので、余裕ができたら早めに追納するのがよいでしょう。

失業給付の申請

失業給付(基本手当)の申請

離職票が届いたらすぐにハローワークへ行きましょう。受給期限は退職日の翌日から原則1年間で、手続きが遅れればその分だけ受給期間が短くなります。求職申込みと同時に行います。4週間に1回の失業認定日にハローワークに出頭し、求職活動の実績を報告する必要があります(雇用保険法 第13条〜第15条)。

失業給付の給付日数一覧を見る

自己都合退職の場合

被保険者期間 給付日数
1年〜5年未満 90日
5年〜10年未満 90日
10年〜20年未満 120日
20年以上 150日

会社都合退職の場合(一部抜粋)

年齢 1年〜5年 5年〜10年 10年〜20年 20年以上
30〜44歳 90日 180日 210日 240日
45〜59歳 90日 180日 240日 330日
60〜64歳 90日 150日 210日 240日

出典: ハローワーク「基本手当の所定給付日数」。会社都合退職のほうが給付日数が大幅に多くなっています。

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失業給付の金額は退職前6ヶ月の賃金で決まります。目安として、退職前の月収の約50〜80%(日額上限あり)。ハローワークで正確な金額を計算してもらえるので、まずは窓口に行きましょう。

住民税の支払方法変更

在職中は給与天引きだった住民税が、退職後は自分で払う普通徴収に切り替わります。会社が届出するので自分での届出は原則不要です。ただし、1月〜5月退職の場合は残額が最後の給与から一括天引きされるので、手取りが少なくなることに注意してください(地方税法 第321条の4)。

住民税の「タイムラグ」に注意

住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、退職して収入がゼロでも前年の年収分の住民税が請求されます。年収500万円で退職した場合、翌年に約20〜25万円の住民税が届くことになります。退職前にこの分の貯蓄を確保しておくことが重要です。

1ヶ月〜6ヶ月以内:忘れると損するもの

確定申告の準備(年の途中退職の場合)

年内に再就職しない場合、年末調整が行われないため翌年に確定申告が必要です。退職後に支払った国保・年金保険料は社会保険料控除の対象になります。多くの場合、税金の還付を受けられるので、面倒でも必ず申告してください(所得税法 第120条)。

確定申告で還付されるケース

年の途中で退職した場合、在職中に天引きされた所得税は「年収=12ヶ月分」の前提で計算されています。実際の年収がそれより低ければ、払いすぎた税金が戻ってきます。例えば6月末に退職した場合、数万円〜十数万円の還付を受けられることが多いです。

iDeCo・企業型DCの移換手続き

企業型確定拠出年金に加入していた場合、退職後6ヶ月以内にiDeCoまたは新しい勤務先の企業型DCへ移換が必要です。6ヶ月を過ぎると国民年金基金連合会に自動移換され、手数料がかかるうえ運用もされません。忘れやすい手続きなので要注意です(確定拠出年金法 第80条〜第83条)。

知っておくと得するポイント

退職金の税金は、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば適正に源泉徴収されるため確定申告不要です。提出していない場合は一律20.42%が天引きされているので、確定申告で還付を受けられます(所得税法 第199条〜第201条)。

住宅ローンの返済計画見直し(住宅ローンがある場合)

収入が減る場合、返済が困難になる前に金融機関に相談してください。返済期間の延長や一時的な返済額の減額に応じてもらえる場合があります。滞納すると信用情報に影響するため、早めの相談が重要です。

パターン別の注意点

自己都合退職の場合

失業給付に給付制限期間がある点が最大の違いです。

  • 給付制限に備えましょう。7日間の待機期間+原則1ヶ月間(5年間で2回以上の正当な理由のない自己都合退職は3ヶ月)。この間は基本手当が出ません。
  • 生活費を事前に確保しましょう。給付制限期間中の生活費を退職前に貯めておくのが理想です。最低でも3ヶ月分は用意してください。
  • 国保の保険料に注意してください。会社都合のような軽減制度がないため、前年所得で満額計算されます。

会社都合退職(解雇・倒産)の場合

給付が手厚い反面、急な退職で準備不足になりやすいです。

  • 失業給付が優遇されます。給付制限期間なし。給付日数も長いです(45〜59歳・被保険者期間20年以上で最大330日)。
  • 国保の保険料が軽減されます。前年給与所得を30/100として計算されます。届出時に雇用保険受給資格者証を提示してください。
  • 離職票の退職理由を確認してください。離職票-2に記載される退職理由が「会社都合」になっているか必ず確認しましょう。事実と異なる場合はハローワークに異議申立てができます。
相談者
相談者

会社から「自己都合退職にしてくれ」と言われています。退職理由が変わると何が違うのですか。

ナビ
ナビ

金額にして数十万円〜100万円以上の差が出ます。会社都合なら給付制限なし、給付日数は最大330日、国保の保険料も約7割軽減されます。自己都合だと1ヶ月の給付制限、給付日数は最大150日、国保の軽減もありません。安易に同意しないでください。実質的な解雇や退職勧奨であれば、ハローワークに異議申立てができます。

定年退職の場合

  • 失業給付は制限なしで受給可能です。定年退職は給付制限期間がありません。7日間の待機期間のみです。
  • 年金との併給調整に注意してください。65歳未満で特別支給の老齢厚生年金を受給中の場合、失業給付との同時受給はできません。
  • 退職金の税金は原則確定申告不要です。「退職所得の受給に関する申告書」を提出済みなら適正に源泉徴収されています。
退職前に会社から受け取るべき書類チェックリスト

離職票(離職票-1・離職票-2) ― 失業給付の申請に必須です。退職後10日前後で届きます。

健康保険資格喪失証明書 ― 国保加入に必要です。退職日に発行してもらうのがベストです。

源泉徴収票 ― 確定申告に必須です。退職後1ヶ月以内に交付されます。

退職証明書 ― 次の就職先や各種手続きで求められることがあります。

年金手帳(基礎年金番号通知書) ― 会社が保管していた場合は返却を受けます。

雇用保険被保険者証 ― 次の就職先で必要です。紛失した場合はハローワークで再発行が可能です。

退職手続き一覧表

手続き名 届出先 期限・目安
離職票の受け取り 会社から届く 退職後10日以内
健康保険の任意継続 健保組合・協会けんぽ 20日以内(法定)
国民健康保険への加入 市区町村役場 14日以内(法定)
家族の扶養に入る 家族の勤務先 14日以内(推奨)
国民年金への切替 市区町村役場 14日以内(法定)
失業給付の申請 ハローワーク 離職票が届いたらすぐ
求職申込み・説明会参加 ハローワーク 失業給付と同時
住民税の支払い確認 市区町村役場 退職後すぐ
確定申告の準備 税務署・e-Tax 翌年2月16日〜3月15日
iDeCo・企業型DCの移換 金融機関 6ヶ月以内
退職金の確定申告 税務署・e-Tax 翌年(申告書未提出の場合)
住宅ローンの見直し 金融機関 早めに相談

まとめ

退職後の手続きは「20日」「14日」と期限が短いです。退職してから調べ始めるのでは間に合いません。

1. 健康保険の切替が最優先です。任意継続は20日、国保は14日。退職前に保険料を比較しておきましょう。

2. 離職票が届いたらすぐハローワークへ行きましょう。手続きが遅れると受給期間が短くなります。

3. 年金の免除制度を活用しましょう。失業中は特例免除が使えます。「払えないから放置」は将来の年金を減らすだけです。

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