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注文住宅のトラブルは、工事そのものより、契約とお金と期限の段取りで起きることが多くあります。中間金の支払いに住宅ローンが間に合わない、補助金を使うつもりが着工の後だった、工事が遅れて今の住まいの退去日と引渡し日がずれた、といったことです。
完成した後にも期限のある手続きが続きます。表題登記は1か月以内、住宅ローン控除は入居した翌年の確定申告が必要です。
この記事では、注文住宅で起きやすい5つのトラブルと、その防ぎ方・対処法を解説します。契約や税の個別の判断は、建築会社・金融機関・税理士などの専門家に確認してください。
中間金の支払いに住宅ローンが間に合わない
相談
工事請負契約で、着工時と上棟時に代金の一部を払うことになっていました。住宅ローンは引渡しのときにしか出ないと言われ、資金が足りません。
回答
注文住宅は着工金・中間金を工事の途中で払いますが、住宅ローンの融資実行は建物の引渡し時が原則です。その間の資金を一時的に借りるのがつなぎ融資で、本融資の実行時に一括返済します。金利は住宅ローンより高く、利息と手数料がかかります。金融機関によっては、本融資を複数回に分けて実行する分割実行で対応できます。
まずは借入先の金融機関に、つなぎ融資か分割実行に対応しているかを確認してください。対応していない場合は、対応できる金融機関への切り替えや、支払時期と割合の見直しを建築会社と相談します。これから契約する方は、住宅ローンの事前審査の段階でつなぎ融資・分割実行の可否を確かめ、工事請負契約で着工金・中間金・最終金の支払時期と割合を確認しておくと、この問題を避けられます。
補助金と認定を使うつもりが、着工の後だった
相談
家が建ち始めてから、長期優良住宅の認定や国の補助金があることを知りました。今からでも申請できますか?
回答
長期優良住宅などの認定は着工前の申請が前提なので、着工後に申請することはできません。みらいエコ住宅2026事業の補助金は、長期優良住宅・ZEH水準住宅・GX志向型住宅といった性能の区分が条件で、申請は施主ではなく登録事業者(建築会社)が行います。対象は2025年11月28日以降に基礎工事に着手した住宅で、申請は2026年12月31日まで(予算がなくなり次第終了)です。
補助金の対象になるかどうかは、住宅の性能と、建築会社が登録事業者かどうかなどで決まるので、まず建築会社に確認してください。都道府県・市区町村の独自の補助は、併用できるものとできないものがあります。これから建てる方は、設計契約の時点で予算・間取りとあわせて、認定と補助金の希望を建築会社に伝えておくと、設計に反映してもらえます。
工事が遅れ、今の住まいの退去日と引渡し日がずれた
相談
賃貸の解約を引渡し予定日に合わせて通知したのに、工事が3週間遅れると言われました。退去日は動かせないそうです。
回答
賃貸の解約予告の期間は1〜2か月前が多く、一度通知した退去日は動かせないことがあります。工事の遅れで引渡しがずれることは珍しくないので、まず管理会社や大家に退去日の延長ができないか相談し、難しければ短期の住まいや荷物の一時保管を検討します。
工事請負契約書に、引渡し日の遅れに関する取り決めがあるかも確認してください。これから契約する方は、支払時期と割合、追加工事の扱い、引渡し日の遅れに関する取り決めを契約前に確認し、今の住まいの退去日には余裕を持たせておきます。住宅ローン控除には取得から6か月以内に入居するという要件もあるので、引渡しから入居までを空けすぎないことも大切です。
表題登記が済んでおらず、融資の実行日に間に合わない
相談
引渡しの前に、司法書士から「表題登記がまだなので融資を実行できない」と言われました。
回答
住宅ローンの抵当権設定は、建物の表題登記と所有権保存登記が済んでいないとできません。表題登記は、新築した建物の所有権を取得した日から1か月以内に申請する義務があり(不動産登記法第47条。怠ると10万円以下の過料)、土地家屋調査士に依頼するのが通例です。検査済証や引渡証明書、建物図面を使って登記するので、完了検査が済んだら引渡しに間に合うよう前倒しで進めます。
登記上の住所を新しい住所にしたい場合は、先に住民票を移しておきます。旧住所で登記すると、後で住所変更の登記が必要になります。住宅用家屋証明書を登記申請書に添えると、所有権保存登記の登録免許税が評価額の0.15%、抵当権設定登記が借入額の0.1%に軽減されます(2027年3月31日まで)。司法書士が代わりに取得することが多いので、依頼するときに確認してください。
住宅ローン控除の確定申告で書類が足りなかった
相談
入居した翌年に確定申告をしようとしたら、省エネ基準に適合していることを示す書類がないと言われました。
回答
2024年以降に入居する新築住宅の住宅ローン控除は、原則として省エネ基準への適合が要件です。2025年4月からはすべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務づけられていますが、控除の確定申告では省エネ性能を証明する書類を添付する必要があります。どの書類が使えるかを建築会社に確認して、用意してもらってください。
控除は入居した翌年の確定申告で手続きし、登記事項証明書、年末残高証明書、工事請負契約書の写し、省エネ性能を証明する書類などを添えます。2年目以降は年末調整で済みます。床面積は40㎡以上(合計所得金額1,000万円超の人と、子育て世帯などの上乗せを使う人は50㎡以上)、取得から6か月以内の入居も要件です。認定長期優良住宅などの認定通知書は控除や固定資産税の減額で使うので、引渡しのときに原本を受け取って保管しておきます。
契約の前にできる備え
注文住宅の手続きのトラブルを防ぐチェックリスト
- 長期優良住宅などの認定と国の補助金は、着工前の申請が前提です。設計契約の段階で、認定と補助金の希望と、建築会社が登録事業者かを確認します。
- 着工金・中間金は工事の途中で払います。住宅ローンの事前審査の段階で、つなぎ融資か分割実行に対応している金融機関かを確かめます。
- 建物の表題登記は、所有権を取得した日から1か月以内です。抵当権設定は表題登記と保存登記の後なので、引渡しに間に合うよう前倒しで進めます。
まとめ
注文住宅の手続きのトラブルは、制度の条件と手続きの順番を知らなかったことが原因のものがほとんどです。次の3点を先に押さえておけば、多くは防げます。
1. 長期優良住宅などの認定と国の補助金は、着工前の申請が前提です。設計契約の段階で、認定と補助金の希望と、建築会社が登録事業者かを確認します。
2. 着工金・中間金は工事の途中で払います。住宅ローンの事前審査の段階で、つなぎ融資か分割実行に対応している金融機関かを確かめます。
3. 建物の表題登記は、所有権を取得した日から1か月以内です。抵当権設定は表題登記と保存登記の後なので、引渡しに間に合うよう前倒しで進めます。


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