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「海外転出届を出し忘れて、住民税を1年分余計に払ってしまった」「帰国後に転入届を出そうとしたら、戸籍謄本が必要だと知らなくて出直しになった」――海外への転出・帰国では、国内引越しとはまったく異なる手続きが必要になります。
外務省の海外在留邦人数調査統計によると、2024年10月時点の海外在留邦人数は約129万人です。長期滞在者は約89万人で、毎年多くの人が海外転出・帰国の手続きに直面しています。
海外転出で必要な手続きは最大21件です。しかも「出国前にやること」と「帰国後にやること」で手続きの内容が大きく異なり、届出先も市区町村役場・税務署・外務省・警察署と多岐にわたります。さらに厄介なのは、転出届を出すタイミング次第で住民税が課税されるかどうかが変わること、年金の任意加入を選択しないと将来の受給額に影響すること、在留届を提出しないと海外での緊急時に連絡が届かないことなど、知らないと損をする判断ポイントが多い点です。
この記事では、海外転出・帰国の手続きの正しい順番と期限を時系列で解説します。出国前・帰国後に分けて整理していますので、ご自身の状況に合わせて確認してください。

出国前にやること(時系列順)
2週間前まで(役所での届出)
海外転出届の提出 法定手続き
届出先: 現住所の市区町村役場。海外に1年以上滞在する予定の場合は届出が必要です。届出は出国の14日前から可能です。届出を行うと住民登録が抹消され、住民税・国民健康保険の課税対象から外れます。国内の転出届と異なり、転出証明書は交付されません(住民基本台帳法 第24条)。
住民税の節税ポイント
住民税は1月1日時点で日本に住所がある人に課税されます。12月31日までに海外転出届を出して住民登録を抹消すれば、翌年度の住民税は非課税になります。1月2日に転出した場合はその年度の住民税が課税されます。出国時期を調整できるなら、1月1日をまたがないようにするのが得策です(地方税法 第318条)。

12月に転勤が決まったのですが、出国日を年内にするか年明けにするかで住民税が変わるのですか。具体的にどれくらい違いますか。

年収500万円の場合、住民税は年間約25万円前後です。12月31日までに転出届を出して住民登録を抹消すれば翌年度は非課税になります。1月2日以降の出国だと、その年度分の住民税が丸々かかります。たった数日の差で約25万円の差が生じるので、出国時期を調整できるなら年内の転出が得策です。
国民健康保険の資格喪失届
国保加入者のみの手続きです。転出届と同時に手続きできます。資格喪失後は日本の保険証が使えなくなるため、海外旅行保険や現地の医療保険への加入が必須です。会社員(社会保険加入者)は会社が手続きするため個人の届出は不要です(国民健康保険法 第8条・第9条)。
国民年金の任意加入手続き
海外転出届を出すと国民年金の加入義務がなくなりますが、任意加入を選択できます。任意加入のメリットは、将来の年金受給額が減らないこと、障害基礎年金の受給権を維持できることです。保険料は月額約17,000円で口座振替で支払います。加入しない場合、海外在住期間は「カラ期間」として受給資格期間には算入されますが年金額には反映されません(国民年金法 附則第5条)。
住民税の一括徴収・納税管理人の届出
出国後に届く住民税の通知を受け取り、納付を代行する「納税管理人」を届け出ます。届出先は市区町村役場の税務課です。不動産を所有している場合は固定資産税の納付も委任します。特別徴収(給与天引き)の場合は残額の一括徴収を勤務先に依頼してください(地方税法 第300条)。
マイナンバーカードの継続利用手続き
2024年5月の法改正により、海外転出後もマイナンバーカードの継続利用が可能になりました。転出届を提出する際に窓口で申請します。海外でもe-Taxやオンライン行政手続きに利用できます。
出国年の確定申告・納税管理人の届出(税務署)
年の途中で出国する場合、出国日までの所得について確定申告が必要な場合があります。出国前に申告するか、納税管理人を選任して出国後に申告します。給与所得のみで年末調整が済んでいる会社員は通常不要です。日本に不動産所得がある場合は、納税管理人を通じて毎年の確定申告が必要です(所得税法 第127条)。

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1〜2週間前(その他の届出)
在留届の提出(外務省ORRnet) 法定手続き
外国に3ヶ月以上滞在する日本国民は在留届を提出する義務があります。ORRnet(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/)からオンラインで提出でき、出国の90日前から届出可能です。現地での事件・事故・災害時に安否確認や緊急連絡を受けることができます(旅券法 第16条)。
運転免許証の期限前更新
海外滞在中に有効期限が切れる場合は、出国前に特例更新を受けます。パスポート等の渡航証明が必要です。失効した場合も帰国後6ヶ月以内なら試験免除で再取得できます(道路交通法 第101条の2)。
国際運転免許証の取得
ジュネーヴ条約加盟国で運転する場合に必要です。有効期間は発行日から1年間です。手数料2,350円。運転免許センターなら即日取得可能です(道路交通法 第107条の2)。
銀行口座・クレジットカードの整理
海外転出届を提出すると非居住者扱いとなり、利用制限がかかるサービスがあります。銀行口座は非居住者口座への切替え、証券口座は取引制限の確認、クレジットカードは海外利用可否の確認が必要です。海外送金やATM引き出しの手段も事前に確保しておいてください。

海外転出届を出したら銀行口座はすべて解約しないといけないのですか。

解約は不要ですが、「非居住者届出」を銀行に提出する必要があります。メガバンクは非居住者口座として継続利用できますが、ネット銀行の中には解約を求められるところもあります。SMBC信託銀行(プレスティア)やソニー銀行は非居住者向けサービスが充実しています。証券口座(NISA含む)は原則として新規取引ができなくなるため、出国前にポジションの整理を検討しましょう。
郵便物の転送届
海外への直接転送はできませんが、国内の実家や納税管理人の住所に転送できます。転送期間は1年間です。重要な書類を受け取れなくなるのを防ぐために必ず手続きしておいてください。
携帯電話の解約・一時停止
選択肢は解約、番号保管サービス(月額数百円)、海外ローミング対応プランへの変更のいずれかです。二段階認証のSMS受信用に日本の番号が必要な場合があるため、解約前に確認してください。
帰国後にやること(時系列順)
14日以内(法定期限)
転入届の提出 法定手続き・14日以内
届出先: 新住所の市区町村役場。海外からの転入では転出証明書の代わりにパスポート(入国スタンプ)と戸籍謄本・戸籍の附票が必要です。届出が遅れると5万円以下の過料の可能性があります(住民基本台帳法 第22条・第53条)。

帰国してすぐ転入届を出しに行ったら、戸籍謄本が必要だと言われて出直しになりました。本籍地が遠方なのですが、どうすればいいですか。

海外からの転入届では戸籍謄本と戸籍の附票が必要になります。本籍地が遠方の場合は、出国前に本籍地の市区町村に郵送請求しておくのがベストです。マイナンバーカードがあれば、令和6年3月からの広域交付制度で最寄りの市区町村窓口でも取得できます。帰国後に慌てないよう、出国前に2通ずつ取得しておくことを強くお勧めします。
国民健康保険の加入届 法定手続き・14日以内
転入届と同時に手続き可能です。会社に就職して社会保険に加入する場合は不要です。保険料は転入月から発生します(国民健康保険法 第9条)。
国民年金の加入届(第1号被保険者) 法定手続き・14日以内
帰国して住民登録をすると国民年金の強制加入の対象になります。転入届と同時に手続き可能です。厚生年金加入者は会社が手続きします(国民年金法 第7条・第12条)。
帰国後2週間〜1ヶ月(早めに済ませたいもの)
帰国届の提出(ORRnet)
在留届を提出している方は、帰国届をオンラインで提出します。届出しないと在外公館からの安否確認の対象のままになります。
マイナンバーカードの再発行・更新
出国前に継続利用手続きをした方は住所変更のみです。カードを持っていない場合や有効期限切れの場合は新規発行が必要です。申請から1〜2ヶ月で交付されます。
運転免許証の更新・切替え
海外滞在中に失効した場合でも、帰国後6ヶ月以内に手続きすれば学科試験・技能試験免除で再取得できます。パスポートで海外滞在を証明します(道路交通法 第97条の2)。
銀行口座の開設・住所変更
住民票が必要なため、転入届の提出後に手続きします。出国前に非居住者口座に切り替えた場合は居住者口座への復帰手続きを行います。
携帯電話の新規契約・再開
番号保管サービスを利用していた場合は再開手続き、解約していた場合は新規契約です。空港でプリペイドSIMを購入し、落ち着いてから本契約するのも一つの方法です。
翌年2〜3月
確定申告(海外所得の申告)
帰国年は海外での所得と帰国後の所得を合わせて確定申告が必要な場合があります。外国で所得税を納めていた場合は外国税額控除で二重課税を調整できます。申告期限は翌年2月16日〜3月15日です(所得税法 第120条・第95条)。
海外でのインターネット環境
海外転出後もインターネット接続は必須です。VPNサービスやeSIMを事前に準備しておくと、現地到着後すぐに使えます。
スイカVPN
海外から日本のWebサービス(動画配信・ネットバンキング等)にアクセスするためのVPNサービスです。日本のIPアドレスが使えるため、海外在住でも日本国内と同じようにサービスを利用できます。
トリファ(trifa)
アプリだけで海外eSIMが購入・設定できるサービスです。国内利用者数No.1で、SIMカードの差し替えなしで現地の通信が使えます。短期の出張・旅行から長期滞在まで対応しています。】
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TRAVeSIM
140か国以上に対応したeSIMサービスです。渡航前にオンラインで購入し、現地でQRコードを読み取るだけで通信が使えます。データプランも国ごとに選べるため、渡航先に合わせた通信手段を確保できます。
海外WiFiレンタルの各社比較はこちらの比較記事もご覧ください。
パターン別の注意点
会社の海外赴任(駐在)の場合
多くの手続きを会社が代行してくれるのが特徴です。ただし、以下は個人で行う必要があります。
- 海外転出届 ― 会社は代行できません。自分で市区町村役場へ届出します。
- 在留届の提出 ― ORRnetから自分で届出します。
- 運転免許証の期限前更新 ― 滞在中に期限が切れる場合は自分で手続きします。
- 銀行口座・携帯電話の整理 ― 個人の契約は自分で対応します。
まず会社の人事・総務部門に「どの手続きを会社がやってくれるか」を確認してから、残りの手続きを自分で進めるのが効率的です。
留学の場合
年金の任意加入を忘れずに
留学期間が数年に及ぶ場合、年金の空白期間が長くなります。任意加入しないと将来の年金受給額が減るだけでなく、万が一の場合に障害基礎年金を受け取れなくなるリスクがあります。月額約17,000円の負担はありますが、長期留学の場合は加入を強く推奨します。
永住・移住の場合
帰国の予定がない場合でも、以下の手続きは確実に行っておいてください。
- 納税管理人の届出 ― 不動産を所有している場合は固定資産税の支払いが続きます。
- 確定申告 ― 日本に不動産所得等がある場合は毎年の申告が必要です。
- 1億円以上の有価証券 ― 国外転出時課税制度(所得税法 第60条の2)により、出国時に時価課税される場合があります。
国外転出時課税制度の詳細(対象者・猶予・免除)▼
対象者: 出国時に有価証券等の合計額が1億円以上で、出国前10年以内に5年超日本に住所を有していた者。
課税内容: 有価証券を出国時に時価で譲渡したものとみなし、含み益に所得税(約20%)が課税されます。
納税猶予: 担保提供と届出により最長10年間の猶予が可能です。帰国した場合は課税が取り消されます(所得税法 第60条の2〜第60条の4、第137条の2)。
社会保障協定: 日本は23カ国と社会保障協定を締結しており、赴任先国との協定が適用されれば年金の二重加入を回避できます。赴任期間が5年以内の見込みなら日本の年金に加入し続けるケースが多いです。
海外転出・帰国手続き一覧表
出国前の手続き
| 手続き名 | 届出先 | 期限・目安 |
|---|---|---|
| 海外転出届の提出 | 市区町村役場 | 出国14日前〜(法定) |
| 国民健康保険の資格喪失届 | 市区町村役場 | 転出届と同日 |
| 国民年金の任意加入手続き | 市区町村役場 | 転出届と同日 |
| 住民税の納税管理人届出 | 市区町村役場 | 出国前 |
| マイナンバーカードの継続利用 | 市区町村役場 | 転出届と同日 |
| 確定申告・納税管理人届出 | 税務署 / e-Tax | 出国前 |
| 在留届の提出 | ORRnet(オンライン) | 3ヶ月以上滞在(法定) |
| 運転免許証の期限前更新 | 警察署・免許センター | 出国前(期限切れの場合) |
| 国際運転免許証の取得 | 警察署・免許センター | 出国前 |
| 銀行口座・カードの整理 | 各金融機関 | 出国前 |
| 郵便物の転送届 | 郵便局・e転居 | 1週間前まで |
| 携帯電話の解約・一時停止 | 各携帯電話会社 | 出国前 |
帰国後の手続き
| 手続き名 | 届出先 | 期限・目安 |
|---|---|---|
| 転入届の提出 | 新住所の市区町村役場 | 帰国後14日以内(法定) |
| 国民健康保険の加入届 | 新住所の市区町村役場 | 帰国後14日以内(法定) |
| 国民年金の加入届 | 新住所の市区町村役場 | 帰国後14日以内(法定) |
| 帰国届の提出 | ORRnet(オンライン) | 帰国後すみやかに |
| マイナンバーカードの再発行・更新 | 新住所の市区町村役場 | 帰国後2週間以内(推奨) |
| 運転免許証の更新・切替え | 警察署・免許センター | 帰国後6ヶ月以内 |
| 銀行口座の開設・住所変更 | 各金融機関 | 帰国後2週間以内(推奨) |
| 携帯電話の新規契約・再開 | 各携帯電話会社 | 帰国後1週間以内(推奨) |
| 確定申告(海外所得の申告) | 税務署 / e-Tax | 翌年2月16日〜3月15日 |
まとめ
海外転出・帰国の手続きは、国内引越しとは比べものにならないほど多岐にわたります。ただし「出国前は役所でまとめて」「帰国後は14日以内に転入届」の2つを軸にすれば、全体の流れを整理しやすくなります。
1. 海外転出届が全ての起点です。届出のタイミングで住民税・国保・年金が変わります。1月1日をまたぐかどうかが住民税の分かれ目です。
2. 帰国後の転入届は14日以内です。パスポートと戸籍謄本が必要です。届出が遅れると5万円以下の過料の可能性があります。
3. 年金・保険・税金は出国前に方針を決めましょう。任意加入するか、納税管理人を誰にするか、医療保険をどうするか。出国後では手続きが困難になります。
海外転出の手続きチェックリスト(印刷用)▼
出国前にチェックしておきたい項目をまとめました。印刷して使うと漏れを防げます。
☐ 海外転出届の提出(出国14日前〜)
☐ 国民健康保険の資格喪失届
☐ 国民年金の任意加入の判断
☐ 住民税の納税管理人届出
☐ マイナンバーカードの継続利用申請
☐ 確定申告・所得税の納税管理人届出
☐ 在留届の提出(ORRnet)
☐ 運転免許証の期限前更新
☐ 国際運転免許証の取得
☐ 銀行口座の非居住者届出
☐ 証券口座のNISA・取引制限確認
☐ 郵便物の転送届(国内住所へ)
☐ 携帯電話の解約・番号保管
☐ 戸籍謄本の事前取得(帰国時用)
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- 海外転出届の提出
- 国民健康保険の資格喪失届(海外転出)
- 国民年金の任意加入手続き(海外転出)
- 住民税の納税管理人届出
- マイナンバーカードの継続利用手続き(海外転出)
- 在留届の提出(外務省ORRnet)
- 運転免許証の期限前更新(海外渡航)
- 国際運転免許証の取得
- 出国年の確定申告・納税管理人届出
- 銀行口座・クレジットカードの整理(海外転出)
- 携帯電話の解約・一時停止(海外転出)
- 郵便物の転送届(海外転出)
- 転入届の提出(帰国後)
- 国民健康保険の加入届(帰国後)
- 国民年金の加入届(帰国後)
- マイナンバーカードの再発行・更新(帰国後)
- 帰国届の提出(ORRnet)
- 運転免許証の更新・切替え(帰国後)
- 確定申告(海外所得の申告)
- 銀行口座の開設・住所変更(帰国後)
- 携帯電話の新規契約・再開(帰国後)


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