「保育園の申込みを出したのに、無償化の申請を忘れていた」「入学説明会で初めて学童保育の存在を知った」――入園・入学の手続きは、想像以上に数が多いです。しかも保育園・幼稚園・小学校・中学校で必要な手続きが異なり、公立か私立かでも大きく変わります。
厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ」(2024年4月時点)によると、保育所等の待機児童数は2,567人で、前年からさらに減少してはいるものの、都市部では依然として入園希望者が定員を上回るエリアがあります。入園・入学の準備は、正しい時期に正しい手順で進めることが何より重要です。
この記事では、保育園から中学校までの入園・入学手続きを時系列で整理し、何を・いつまでに・どこへ届け出るのかを一覧で解説します。特に見落としやすい補助金・支援制度の申請についても詳しく触れていますので、最後まで確認してください。

入園・入学の半年〜5ヶ月前にやること
入園・入学の手続きは、思っているよりずっと早い時期から始まります。特に保育園と幼稚園は前年秋が勝負です。
保育園の利用申請(保育認定申請) 法定手続き
届出先: 市区町村の保育課窓口。認可保育園の利用には市区町村への申請が必要で、4月入園の場合は前年10〜12月が一次申込みの受付期間です。保育の必要性の認定(1〜3号認定)と利用調整(ポイント制)が行われるため、就労証明書を早めに勤務先へ依頼しておきましょう(児童福祉法 第24条第1項、子ども・子育て支援法 第19条)。

認可保育園の一次選考に落ちてしまいました。二次選考はありますか。

ほとんどの自治体で二次選考(2月頃)が行われます。辞退者が出て枠が空くため、一次で落ちても諦めないでください。二次選考では希望園の変更もできます。また、認可外保育施設への入園実績があると翌年の利用調整で加点されるケースもあるため、認可外を「つなぎ」として利用する方法もあります。
幼稚園の入園申込み
届出先: 希望する幼稚園(私立)または市区町村の教育委員会(公立)。私立幼稚園は10〜11月に願書配布・受付が集中します。人気のある園は抽選や先着順になることもあるため、説明会・見学には早めに参加しましょう。プレ保育に通っていると入園が有利になる園もあります(学校教育法 第22条)。
就学時健康診断の受診 法定手続き
届出先: 入学予定の小学校(市区町村が指定する会場)。小学校入学予定者に対して入学前年の10〜11月に実施されます。法令上の期限は11月30日までです。内科・歯科・視力・聴力等の検査を行い、結果に基づき必要に応じて就学相談を受けられます(学校保健安全法 第11条)。
3ヶ月〜2ヶ月前にやること
私立の入学手続き・入学金の支払い
届出先: 入学する私立の園・学校。合格発表後、指定された期日までに入学金の支払いと書類提出が必要です。期日を過ぎると入学の権利を失う場合があります。私立に通う場合は、教育委員会への就学届も忘れずに提出しましょう。
学用品・ランドセル等の準備
ランドセルは人気ブランドが入学前年の5〜6月から販売開始されるため、早めの検討をおすすめします。学用品の詳細は入学説明会で配布されるリストで確認してください。鉛筆の濃さ(2B指定が多い)やノートのマス目サイズなど、学校ごとに指定があります。全ての持ち物への名前付けも忘れずに行いましょう。
学童保育(放課後児童クラブ)の申請
届出先: 市区町村の児童福祉課窓口。共働き家庭で小学生の放課後の預け先が必要な場合に申請します。4月からの利用は前年12月〜1月が申込み期間の自治体が多いです。定員超過の場合は低学年が優先されます(児童福祉法 第6条の3第2項)。

学童保育の申込みと保育園の申込みは時期が近いので、共働き家庭は同時に準備を進めましょう。就労証明書は両方で必要になるため、2通まとめて勤務先に依頼すると効率的です。
2ヶ月〜1ヶ月前にやること
入学届の提出(入学通知書の確認)
公立小・中学校の場合、市区町村の教育委員会が住民登録に基づいて就学通知書を送付します(入学前年の1月頃)。指定校以外を希望する場合は「指定校変更申請」が必要です。私立に進学する場合は教育委員会に届出が必要です(学校教育法 第17条、学校教育法施行令 第5条)。

指定校とは別の小学校に通わせたいのですが、指定校変更は認められるのでしょうか。

指定校変更が認められる主な理由は、身体的な理由(通学路の安全、障がいへの配慮等)、いじめ・不登校への対応、共働き家庭の放課後の預け先が学区外にある場合、兄弟姉妹が別の学校に在籍している場合などです。自治体によって基準が異なるため、教育委員会の学務課に早めに相談してください。「学校選択制」を導入している自治体では理由を問わず希望校を選べます。
制服・体操着の購入
入学説明会(1〜2月頃)でサイズ合わせ・注文が行われることが多いです。成長を見越して1〜2サイズ大きめを選ぶのが一般的です。注文から納品まで1〜3週間かかるため、早めに手配しましょう。リサイクル制服を利用できる学校もあります。
予防接種歴の確認・未接種分の接種
母子健康手帳で定期接種の接種漏れがないか確認しましょう。特に小学校入学前のMR(麻しん風しん)ワクチン第2期接種(年長児対象)は忘れやすいです。定期接種の期間を過ぎると自費(1万円程度)になるため早めに受けてください(予防接種法 第5条)。
MRワクチン第2期の接種期間に注意
MR(麻しん風しん)ワクチン第2期の定期接種期間は年長児の4月1日〜翌年3月31日です。この期間を1日でも過ぎると公費負担がなくなり自費(1万円程度)になります。入学直前の3月に慌てないよう、年度前半のうちに接種を済ませておくのがベストです。

母子手帳を確認したら日本脳炎の接種が1回抜けていました。入学前に接種できますか。

日本脳炎の定期接種は生後6ヶ月〜7歳6ヶ月未満(第1期)と9歳〜13歳未満(第2期)が対象です。接種漏れがあっても、2005年〜2009年度生まれの方は特例措置で20歳未満まで公費で接種できます。まずかかりつけ小児科に相談してください。接種間隔の調整で入学までに完了できる場合がほとんどです。
1ヶ月前〜入園/入学直前にやること
アレルギー対応面談・生活管理指導表の提出
食物アレルギーのあるお子さんは、入園/入学前に園・学校との面談が必要です。かかりつけ医に「学校生活管理指導表」を記載してもらい、学校に提出します。給食での除去食・代替食の対応やエピペンの保管方法を学校と共有しておきましょう。
通学路の確認・安全対策
入学前に親子で通学路を複数回歩いて確認しましょう。横断歩道・信号・交通量の多い場所をチェックし、集団登校の集合場所と時間も確認しておきます。防犯ブザーの携帯と「子ども110番の家」の場所の確認もおすすめです。
幼児教育・保育の無償化申請
3〜5歳の幼稚園・保育所・認定こども園の利用料が無償化されます(幼稚園は月額2.57万円まで)。認可保育所は手続き不要な場合が多いですが、認可外施設や幼稚園の預かり保育は申請が必要です(子ども・子育て支援法 第30条の2)。
無償化の対象と上限額の詳細▼
| 施設の種類 | 3〜5歳 | 0〜2歳(住民税非課税世帯) |
|---|---|---|
| 認可保育所・認定こども園 | 全額無償 | 全額無償 |
| 幼稚園(新制度) | 全額無償 | — |
| 幼稚園(未移行) | 月額2.57万円まで | — |
| 幼稚園の預かり保育 | 月額1.13万円まで(要認定) | — |
| 認可外保育施設 | 月額3.7万円まで(要認定) | 月額4.2万円まで(要認定) |
給食費(副食費)・通園送迎費・行事費は無償化の対象外です。年収360万円未満相当の世帯は副食費(月額約4,500円)も免除されます。
補助金・支援制度(見落とし注意)
入園・入学の際に申請できる補助金・支援制度は複数あります。知らずに申請しないと受け取れないものばかりですので、該当するかどうか必ず確認してください。
就学援助の申請
経済的に困難な家庭に対し、学用品費・給食費・修学旅行費等を市区町村が援助する制度です。入学前の1〜3月に申請すると、新入学学用品費(小学校約5.7万円、中学校約6.4万円)を入学前に支給する自治体も増えています(学校教育法 第19条)。
入学準備金の申請
就学援助の一部として、入学前に新入学学用品費を前倒し支給する自治体が増えています。自治体によって実施の有無・金額・申請時期が異なるため、お住まいの市区町村の教育委員会に確認しましょう。
入園/入学後にやること
学校給食の開始届・アレルギー対応確認
入学後に給食開始届を提出します(学校によっては入学手続き時に一括処理)。給食費は月額4,000〜5,500円程度で口座振替が一般的です。アレルギーのあるお子さんは、毎月の献立表で使用食材を事前確認する習慣をつけましょう(学校給食法 第11条第2項)。
PTA・保護者会への加入
PTAへの加入は任意ですが、多くの園・学校で入学時に加入案内があります。会費は年額2,000〜5,000円程度です。近年は活動の見直しやオンライン化を進めるPTAも増えています。
パターン別の注意点
保育園に入園する場合
- 利用調整のポイント制を理解する ― 保護者の就労状況・世帯構成・兄弟の在園状況等でポイントが付けられ、高い順に入園が決まります。フルタイム共働きが有利です。
- 第2希望・第3希望まで記載する ― 第1希望だけでは落選リスクが高いです。見学した上で複数の園を希望順位付きで記載しましょう。
- 認可外施設も視野に入れる ― 認可保育園に入れなかった場合の受け皿として検討してください。無償化の対象(月額3.7万円まで)になる場合があります。
小学校に入学する場合
- ランドセルは早めに検討 ― 人気モデルは入学前年の夏には売り切れることもあります。6年間使うため、重さ・耐久性・収納力を比較して選びましょう。
- 生活リズムを整える ― 幼稚園・保育園と小学校では登校時間が早まります。入学1〜2ヶ月前から早起きの習慣をつけておくと安心です。
- 学童保育の申込みを忘れずに ― 共働き家庭は必須です。申込み期間が短く、締切を過ぎると入れないことがあります。
私立に進学する場合
- 入学金の支払い期限を厳守 ― 期限を過ぎると入学の権利を失う場合があります。複数校に合格している場合は期限に注意してください。
- 教育委員会への届出が必要 ― 私立に通う場合は公立の教育委員会に就学届を提出して指定校への入学を辞退する手続きが必要です。
入園・入学手続き一覧表
| 手続き名 | 届出先 | 時期・目安 |
|---|---|---|
| 保育園の利用申請 | 市区町村の保育課 | 入園5ヶ月前(10〜12月) |
| 幼稚園の入園申込み | 希望する幼稚園/教育委員会 | 入園5ヶ月前(10〜11月) |
| 就学時健康診断 | 入学予定の小学校 | 入学5ヶ月前(10〜11月) |
| 私立の入学手続き | 入学する私立校 | 入学3ヶ月前 |
| 学用品・ランドセルの準備 | 量販店等 | 入学3ヶ月前 |
| 学童保育の申請 | 市区町村の児童福祉課 | 入学3ヶ月前(12〜1月) |
| 入学届の確認 | 市区町村の教育委員会 | 入学2ヶ月前(1〜2月) |
| 制服・体操着の購入 | 指定販売店 | 入学2ヶ月前 |
| 予防接種歴の確認 | かかりつけ小児科 | 入学2ヶ月前 |
| 入学準備金の申請 | 教育委員会 | 入学2ヶ月前 |
| アレルギー対応面談 | 入学先の学校+かかりつけ医 | 入学1ヶ月前 |
| 通学路の確認 | 自宅〜学校の通学路 | 入学1ヶ月前 |
| 無償化申請 | 市区町村の保育課 | 入学1ヶ月前 |
| 就学援助の申請 | 教育委員会/学校 | 入学1ヶ月前 |
| 給食の開始届 | 入学先の学校 | 入学後1週間 |
| PTA・保護者会への加入 | 入学先の学校 | 入学後1週間 |
まとめ
入園・入学の手続きは数が多いですが、以下の3つを押さえておけば大きな失敗は防げます。
1. 申込みは半年前から始まります。保育園は前年10〜12月、幼稚園は10〜11月が申込み時期です。就学時健康診断も10〜11月に実施されます。
2. 補助金・支援制度の申請を忘れないでください。無償化、就学援助、入学準備金は知らなければ受け取れません。該当するか必ず確認しましょう。
3. 予防接種は入学前に済ませましょう。特にMRワクチン第2期は定期接種期間を過ぎると自費になります。母子健康手帳で接種漏れをチェックしてください。
保育園の利用調整(ポイント制)の仕組み▼
基本指数(就労状況等): フルタイム勤務(月20日以上・週40時間以上)が最も高い点数です。パート・自営業・求職中の順に低くなります。
調整指数(加点・減点): ひとり親家庭(+加点)、兄弟が同園に在園(+加点)、祖父母が同居で保育可能(-減点)、認可外施設に有償で預けている(+加点)などがあります。
同点の場合の優先順位: 自治体により異なりますが、所得の低い世帯、居住年数の長い世帯、待機期間の長い世帯が優先される傾向があります。
基準は自治体ごとに異なるため、必ずお住まいの市区町村の「利用調整基準表」を確認してください。多くの自治体がホームページで公開しています。
「自分の場合はどの手続きが必要で、どの順番でやればいいのか」を手っ取り早く知りたい方は、質問に答えるだけであなた専用のプランが作れるツールを使ってみてください。
関連記事
よくあるトラブルと対策


コメント